雪乃に腕を掴まれたまま、雪乃の部屋へ入ると
テーブルの上には教科書とノートが開いて置いてあった。
「ごめんね、勉強・・邪魔して」
「ううん、平気だよ」
すぐに沈黙が流れる。
それを打ち破ったのは秋元先輩。
「・・俺、帰った方がいいね」
「大丈夫です、ごめんなさい」
立ち上がろうとした秋元先輩は、また同じ場所へ腰を落ち着かせた。
「・・あの、私、雪乃、どうしよう」
「うん?」
促すような優しい笑みを浮かべた雪乃を見て、また涙があふれ出す。
「私・・新垣先輩、好きなの」
雪乃は私の掴んだ手を離し、そのまま私の頭の上へ手を置いた。
「うん」
先ほどと変わらずの顔をした雪乃を見る。
「だけど、女の人と一緒にいた」
瞳からあふれ出した涙が、カーペットを湿らす。
それから、雪乃に話してなかった
あの河原へ今も毎月同じ日に散歩がてら行っていることも話した。

