白いバーカウンターにハイテーブル4つ。

そのハイテーブルの内の一つに案内される。

「こちらへどうぞ」

さっきとうって変わって、私がなれない雰囲気にそわそわしている。
雪乃はというと、目をキラキラさせながら店内と差し出されたメニューを見まわす。


「なんか、大人ってかんじだね」

と、雪乃が耳打ちする。

「場違いじゃないかな」

「そんなことないよ」

ふいに横から聞こえた声にびっくりして、そちらに顔を向ける。

「本日、お客様をご担当させていただく、新垣真一です」

いたずらっぽい笑顔を向ける彼に、心臓がつかまれる。

「あたし、平野雪乃です」
「木下綾香です」

薄暗い照明だから、少し頬が熱い気がするけど、
雪乃にも彼にもバレてないだろう。

「雪乃さんと綾香さんか、よろしく」

そう言ってまたさっきと同じ笑顔をくれた。
その笑顔のまま、メニューの説明を始めてくれたけど
あまり頭の中には入ってこなかった。