“その……他に、好きなひとができた……”
「――え」
いつもの低い声で、電話口の彼は言った。
何の脈絡もなく、唐突にきりだされた。
“だから、……ごめん”
「――ん」
ふたりの距離は、物理的だけでなく、気持ち的にも離れてしまっていたということを私は実感していた。
“ちーちゃんと過ごした日々、楽しかったよ”
「――ん」
私のことを“ちーちゃん”と呼ぶのは、世界中で彼だけだった。
ちーちゃん。
ちいちい。
ちーすけ。
色んな変化をつけて、彼は私のことを呼んでいた。
“……”
「……」
彼が何を考えているのかは解らない。
ただ、沈黙だけが流れていった。
私はそんな間がせつなくて、苦しくて。
“……”
「ばいばい」
私はそう言って、電話を一方的に切って。
ベッドに、投げつけた――。
「――え」
いつもの低い声で、電話口の彼は言った。
何の脈絡もなく、唐突にきりだされた。
“だから、……ごめん”
「――ん」
ふたりの距離は、物理的だけでなく、気持ち的にも離れてしまっていたということを私は実感していた。
“ちーちゃんと過ごした日々、楽しかったよ”
「――ん」
私のことを“ちーちゃん”と呼ぶのは、世界中で彼だけだった。
ちーちゃん。
ちいちい。
ちーすけ。
色んな変化をつけて、彼は私のことを呼んでいた。
“……”
「……」
彼が何を考えているのかは解らない。
ただ、沈黙だけが流れていった。
私はそんな間がせつなくて、苦しくて。
“……”
「ばいばい」
私はそう言って、電話を一方的に切って。
ベッドに、投げつけた――。