好きだと気付いたのは、ほんの些細なことでした。

高校に入ってすぐ、部活紹介の時に先輩を一目見て、

(あっ、好き)

と思ったのが始まりでした。

笑顔がとても優しかったから。

語る言葉もとても柔らかかったから。

だから彼を追うようにして、生徒会へ入りました。

生徒会は多忙を極めていて、とても忙しくもやりがいのある仕事ばかりです。

先輩はどんな時でも笑顔を崩しません。

いつでも優しく微笑んで、怒鳴ったり怒ったりは絶対にしない人でした。

成績も優秀で、人望も厚く、カッコ良い人。

だからライバル…と言うか、わたしと同じように先輩を好きになる女の子はたくさんいました。

けれどどのコとも、先輩は付き合いませんでした。

…そのことに、ほっとしている自分が嫌いです。