廊下を中程まで歩いたところだった。
張り裂けるような悲鳴が聞こえた。
「えっ?!」
振り返ると、勉強部屋から駆け出す藤咲さんが見えた。
悲鳴が聞こえた方面へ向かっている。
いやな予感がした。
あおいは息苦しくなり呼吸が激しくなった。
いやだ。
まさか。
あの人の仕業じゃ。
背後で誰かの足音が響いた。
早足で迫ってくる。
「来ないで!」
掠れた声が出た。
足音があたしの後ろで止まる。
腕を掴むんだ。黒い男が腕を掴んで、またあたしを誘拐するんだ。
あおいは両手を抱きしめしゃがみ込んだ。
しかし
あたしの肩にふれたものは、ものすごく優しいものだった。

