まだまだ言いたい事はあるはずなのに、あたしはそれ以上、言葉を発する事が出来なくて。
俯いたあたしの頭を、貞永が優しく撫でていく。
その行動が、なんだか安心出来た。
「俺もあゆの気持ちに薄々気付いてたけど…何をすればいいか分からなかった」
「え…?」
「もう、あゆを傷つけたくなかったから。高校の時のような過ちは、犯したくなかったんだよ…」
―――貞永とあたしは、同じ事を考えていたんだ。
お互いがお互いを傷つけたくなくて、感情に蓋をして。
きっと、それがすれ違いの原因…。
「貞永…あたしは、昔みたいな何でも言い合える関係に戻りたいの」
「あゆ…」
「貞永は…どう思ってる?」
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