そんなあたしの心境を知らない小西さんは、話を続けていく。
「マネージャーという存在は、芸能人にとって必要不可欠なものだと私は思うんだ。中森さんには、その大事な部分を、新人に伝えてくれる気がするんだよ」
「あたしが…?」
「そう。だから…頑張ってその事を伝えて下さい」
最後にそう締めくくった小西さんは、微笑んだまま、またコーヒーを口にした。
…あたし、褒められた?
上司に、褒められたの?
そう自覚した途端に、頬が熱くなっていくのが分かる。
辛かった時もあった。
苦しい時もあった。
だけど…続けていてよかった。
大好きなマネージャーの仕事をしていて、よかったよ。
貞永の事を忘れる程に、あたしの顔からは笑みが漏れていた。
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