その姿を見送ると、あたしは大急ぎで自分の車へと飛び乗る。


…小西さんから、呼び出しを食らったからだ。




「今度はどうしたのよ…」




そんな独り言を発してみるけど、頭の中には貞永の事しか浮かんでこない。


言葉で表せられない程の虚しさが、あたしを襲い始めた。




ひとつ、再確認した事がある。


それは、貞永が仕事とプライベートの区別がしっかり出来る人でよかったという事。



動揺がおもいっきり態度に出てしまうあたしと違い、貞永は何も無かったかのように振舞う事が出来る。



あたしと同い年のハズなのに、なんだか貞永はズルいと感じた。




そんな所が、あたしの動揺を抑えていてくれるのかもしれない。



…やっぱり貞永は、オトナだ。




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