蘭は、きっと分かっているんだ。



貞永が抱えている闇を、

その苦しさを―――




「今のあゆじゃ、絶対に分からないわよ、この事は」



「…蘭」



「だから、明日までに、いつものあゆを取り戻しなさい?そして、しっかりとぶつかるのよ」




こんなに蘭が頼りになると思った事は、今までなかった。



さすが、過去に貞永を好きだった人間。


あたしよりも、遥かに貞永の事を分かってあげられてるよ。




「いい?くだらない事を考えてるかもしれないけど、光輝くんの彼女はアンタなんだからね?」



「…うん」



「弱い自分は捨てて、明日は頑張りなさいよ?」




蘭の最後の一言が、やけに心に響いた。




.