「貞永…」
それ以上言葉を発する事が出来なくて、車内は沈黙の渦に巻き込まれる。
貞永も、あたしも。
どちらとも口を開くことは無くて、気まずい空気が流れる。
…分からない。
あたし達の関係はそう簡単には崩れない、そう思っているはずなのに。
思っていた以上に、二年というブランクは大きいかもしれない。
貞永の考えている事が、分からない―――
「貞永、着いたよ」
気付けば、車はあっという間に、貞永の住むマンションへと到着していて。
そっと助手席側の扉に手を伸ばした貞永が、ゆっくりとあたしの方を向いた。
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