洋画の吹き替えの打ち合わせもスムーズに済ませると、あたし達の長いようで短かった一日が終わった。
いつも通り、あたしの愛車の助手席には、貞永の姿が。
その些細な光景でも、今のあたしには充分嬉しい。
「このまま自宅まで送っていいんでしょ?」
「あぁ…」
元気が無いように感じた貞永の声に、あたしは助手席をチラ見。
少し俯いているように見える貞永に、リアクションを取る事が出来なかった。
…貞永、落ち込んでる?
もしそうだったら、相当珍しい事だ。
仕事で何かあったとしても、落ち込むどころか逆にやる気に満ち溢れている貞永が…
「貞永が元気ないとか…地球が破滅してでも無い事だと思ってたのに…」
.

