寂しさを取り除くように、あたしは貞永の手を何気なく握ってみる。
普段しない行動に、貞永の目は大きく開いていく。
「あゆ…?」
「ゴメンね貞永。だけど、少しだけ繋いでいい?」
「…いいよ。何時間でも、何日でも繋いでてもな」
そう目を細めて笑う貞永の表情に、なんだか安心感が生まれた。
…大丈夫。
あたし達は、まだ繋がっている。
そう確信出来たおかげで、気持ちも楽になった気がする。
―――周りに言えない秘密の関係を選んだからこそ、このくらいの寂しさや不安なんかへっちゃらだよ。
そうでしょう?中森あゆ。
そう思い続けていたい。
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