この時、必然的に分かった。

神風さんは、あまりあたしの事をよく思ってはいなかったのだと―――



よく考えれば分かる事だった。


これだけ、ハッピードリームの損失に関わる事件を起こしてしまったというのに、貞永はあまり責められずに、あたし一人だけ攻撃を受けて、謹慎処分まで喰らって。


貞永がドラマ撮影中だという現実もあったんだろうけど、明らかにあたしに対しての態度だけが酷い。


冬馬の言うように、会社の利益だけを考えるのだったら、貞永だけでなく、マネジメント部で業績トップを誇るあたしも残すはずなのに。



大体、芸能部のトップが、マネジメント部に口出しをして、処分まで決めて…

そこからが、まずおかしい。



そんなあたしの気持ちを代弁するように、貞永が口を開く。




「神風さんは、あゆの事が嫌いだから、ここまで厳しい処分を受けさせたんじゃないんですか?」



「貞永!上司になんて口を―――」



「話を逸らさないで下さい」




真剣な貞永の声が、あたしの耳に入ってくる。


動揺する気持ちを隠すように、あたしは菊池の服をギュッと握った。




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