…ドキン!
胸が激しく鼓動を始める。
あたしの視線の先には、颯爽と会見場に登場した、貞永と神風さんの姿があった。
真剣な表情を浮かべる二人の後を追いかけるように、困惑している様子の小西さんが登場する。
カメラのフラッシュが焚かれる中、貞永は集まっているマスコミに向かって、深く一礼をした。
「さだ…なが…」
無意識に、口から名前が漏れる。
三日ぶりに目にした貞永は、真剣な面持ちを浮かべている表情の中に、どこか余裕そうな態度も含まれていて。
…やっぱり、貞永は何かをやらかそうとしている、そう思わざるを得なかった。
あたしの恐れている神風さんは、いつものように鋭く視線を光らせながら、貞永から一旦離れて、あたし達の近くに設置してあるパイプイスに座った。
…ひぇぇっ!
いくらなんでも、こんなに至近距離に居たら、あたしの存在がバレちゃうって!
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