それから十分後。
何故かあたしは、冬馬の運転する車の後部座席に、猛と一緒に座っていた。
…非常に理解しがたい光景を、目の当たりにしながら。
「あゆ、なかなかいけるじゃない」
助手席に座っている蘭が、わざわざ後ろを振り向いてまで、あたしをジロジロと舐め回すように見てくる。
車内のミラーに映る自分の姿に唖然としながらも、あたしは十分前に起こってしまった惨劇を、もう一度振り返る事にした。
―――冬馬と猛によって身動きがとれなくなってしまったあたしは、確実に殺されるモノだと思っていた。
和解したとは言え、まだ蘭にはあたしへの恨みが残っていたのだ、と自分に言い聞かせながら。
そんな命を失う覚悟さえ決めた時、蘭が持っていた大きめのカバンから登場したのは…
包丁ではなく、金髪のカツラだった。
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