「とりあえず、今回の事は俺がどうにかする」



「へ?…って、ちょ…!」



「だからあゆは、あさっての会見の時まで楽しみに待ってろよ?」




いやいや。ウキウキしたような声で、待ってろよ?なんて言われても―――


貞永の考えている事が理解出来ないでいると、電話越しに貞永を呼ぶ声が聞こえた。


どうやら、今日からあたしの代わりに配属された、一時的なマネージャーの声らしい。




「あ、ゴメンなあゆ。そろそろ撮影が再開されるみたいでさ」




ここでやっと気付く。

貞永は撮影の休憩時間に、人目を掻い潜って、あたしに連絡を入れてくれていたんだ―――


気付きにくい優しさに、思わず顔が綻ぶ。




「ううん。撮影頑張ってね?」



「ああ。じゃ、またな」




そんな声と共に、あたしと貞永を唯一繋いでいた電話が切れた。



一体貞永は何を考えているの?

そして、貞永の作戦って一体?



よく考えが理解出来ないまま、あたしは残りの謹慎時間を過ごしていく事になった。




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