たった一枚のFAX用紙は、あたしと貞永に発言権を与えない程に、衝撃を与えている。


震えだした唇を必死に噛みながら、あたしはギュッと目を瞑った。



…なんで?

どうして?


疑問の言葉ばかりが、あたしの頭の中に次々と浮かんでいく。


それでも、現実から目を逸らす事は、もう出来なくなっていて。




「…もうダメだ、貞永」



「あゆ…?」




あたしは目を瞑ったまま、貞永に素直な気持ちを伝える。


貞永の表情が伺えなくても、あたしには今、アイツがどんな顔をして立っているかが想像できる。


弱音なんか吐きたくなかったけど、もう限界かもしれない―――



あのFAX用紙に映っていたのは…


あたしと貞永がキスをしている瞬間と捕らえた、写真だった。




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