全身から冷や汗が吹き出してくるのを感じながら、あたしは菊池に問いかける。




―――「なんで…?」



「だって、中森サン分かり易いんスもん。あの調子ならみんな勘付きますよ。“何かがある”ってね」―――



それから話を聞いていくと、どうやら菊池は、最初からあたしと貞永の関係に気が付いていたらしい。


…恐るべき、観察力。


その事を帰りの車中で貞永に話すと、




―――「あゆってさ、他人の事になると勘が鋭くなるのに、自分の事はとことん鈍くなるよな」



「え…!?あたしって鈍いの?」



「そう言ってる時点で鈍いよ、あゆは」―――



そう言って、貞永に笑われる始末。


…一瞬だけ貞永に殺意を覚えたのは、未だに本人には秘密だけど。




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