「と…うま…?」
「菊池くんがこんなにも蘭と話したいと言ってるんだ。…俺も居るし、話を聞いてあげなよ、蘭」
そうにこやかに微笑みながら、冬馬はゆっくりと蘭の背中を押す。
その反動で少しずつ菊池に近付いていく蘭は、いつの間にか至近距離で菊池と向かい合っていて。
「あ、の…」
「蘭」
しっかりとした口調で、蘭の名前を呼ぶ菊池。
いきなり名前を呼ばれてビクッと身体を震わせた蘭は、菊池と視線を合わせる事のないまま、ひたすら俯いている。
「…そうだよな。蘭は、俺が怖いもんな」
「………」
「だけど、その状態でいい。俺の顔を見ろ、なんて望まないから。…だから少しだけ、俺の話を聞いて欲しい」
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