貞永らしい発言に、思わずクスクスと笑みが零れてしまう。
…だからこそ、油断していたんだ。
「――-という訳だから、そろそろ隠れてないで出てきなよ?」
蘭を包み込んだままそう発言した、冬馬の言葉のトゲに。
あたしは驚きで声が出そうになりながらも必死に堪え、大きく開いた目で貞永を見る。
あたしと同様に、貞永も神妙な面持ちで、冬馬の方を伺っていた。
…まさか、バレてたの!?あたし達が盗み見していた事…!
第一、蘭ともまだ仲直りをしていないのに、盗み見までしてたという事が蘭に知られてしまったら、一生関係が元に戻れなくなってしまいそうで怖い。
蘭との関係が、壊れて欲しくない―――
ギュッと目を瞑って、この事態をどうしようかと必死に考えていると、どこからか人の足音が聞こえた。
この足音は、誰…?
そんな疑問を持ちながら、あたしは恐る恐る目を開いた。
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