言葉というカタチで現われた、冬馬の蘭への気持ち。
シンプルで短いその言葉は、同時にストレートで等身大の感情を感じる。
「とう…ま…っ…!」
「俺が蘭の全部を受け止めるから。従兄妹という関係も忘れてしまう程に、たくさん愛してあげるから」
「冬馬―――アタシも、たくさん愛してもらいたいッ…!!」
冬馬の一言により、その場にしゃがみ込んで泣いている蘭を、冬馬が優しく包み込む。
そんな二人の気持ちが繋がったシーンを見ながら、ふと隣に居る貞永が口を開いた。
「なぁ、あゆ」
「何…?」
「お前は気が付いてたのか?…佐田の気持ちに」
「…うん、気付いてたよ」
あたしは貞永の肩に頭を乗せながら、そう返答した。
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