冬馬の勘は、どこまで鋭いのだろうか。
誰も告げ口をした訳ではないのに、ひとつひとつの推測が、ピンポイントで全て合っている。
まるで、バラバラになったパズルのピースが、どんどん埋め込まれていくみたいに。
「蘭が俺を好いていてくれる事、ちゃんと気付いてた」
「と…うま…」
「でもさ…」
フッと悲しげな表情を浮かべた冬馬は、何かを求めるように、顔を空へと向ける。
「自信が無かったんだ、自分自身に。だから、蘭の気持ちを知っていながらも、見て見ぬフリをしてた」
「こんなの、最低だよね」と自らをあざけ笑う冬馬を、あたしと貞永は無言で見つめていた。
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