そんなあたしの妄想で幕を閉じた、みんなとの飲み会。


ベロンベロンに酔った蘭は冬馬に任せて、あたしは一人で自宅へと向かっていた。



隼人と猛は自力で帰っていったので、この車内にはあたし一人だけ。


いつもは助手席に居るはずの蘭が存在しない車内は、なんだか閑散としていて。



…無性に、寂しくなった。




「そういえば、昔は貞永もここに座ってたよな…」




あの頃から変わっていない、あたしの愛車。


少し古びたとは思うけど、まったく買い換える気にはならない。



それは…

貞永との想い出を、消し去りたくないから?




「…みんなの前ではああやって言ったけど、やっぱり完璧に忘れる事は出来ないよ」




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