「冬馬には分からないでしょ!?アタシが何に、どれだけ傷付いたか!」




どうやら蘭は、冬馬は何も分かっていないと考えているらしい。


泣き叫ぶ蘭の声が、どこか痛々しく感じて。


あたしと冬馬がこうさせてしまったんだ…と考えると、再び胸が痛くなった。




「何?傷付くのが似合わないって?」



「蘭」



「こんな性格だけど、アタシも一応女なのよ!傷付く事だって当たり前―――」



「蘭っ…!!」




どんどん暴走していく蘭を止めたのは、

…逞しくて凛々しい、冬馬の蘭の名前を呼ぶ声だった。



怒っているような冬馬の声に、蘭の身体は驚きで動かなくなっていて。


冬馬は眉を寄せた表情で、蘭に少しずつ近付いていった。




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