「蘭…」



「………」



「返事くらい、してよ…」



「ヤダ」




ベンチに座っている蘭は、顔を俯かせている為、どんな表情を浮かべているのかが確認出来ない。


ただ…分かる事がひとつだけ。




「泣いてるの、蘭?」




冬馬のその一言で、蘭の肩がビクッと上がった。


涙声で受け答えをする蘭を見れば、一目瞭然なその事実だが、今の蘭にとっては、少し刺激が強すぎたようだ。




「…誰のせいだと思ってるのよ」



「え?」



「誰のせいで、アタシは涙を流してると思ってるのよ…!!」




ガバッとベンチから立ち上がった蘭は、大股で冬馬の元へと近付くと、キッと視線を鋭くした。




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