「撮影でヒマな時に散策してたら、此処を見つけてさ。佐田さんに教えたら、ここが彼女にとって、大のお気に入りの場所になったんだよな」



「という事は…蘭が此処に居るかもしれないって事!?」



「居るかもしれないというか、ホラ」




ありふれた自信を表情に浮かべながら、貞永はある一点に向かって、指先を伸ばし始める。


指が示している場所を、目で追っていくと―――




「あ…」



「だろ?」




色とりどりの花に囲まれてあるベンチに座っている、蘭の姿を見つけた。


そして、そのベンチの前には―――

息が乱れている、冬馬も。



あたしは貞永とアイコンタクトを取ると、気付かれないように、二人が居るベンチの方へそっと近付いていく。



声が聞き取れる範囲まで距離を縮めた時、あたし達は近くにある木陰に身を隠した。




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