「ひゃぁっ…!?」
「何だよ、あゆ」
「だって、だって…!」
半ばパニックになりかけながら、あたしは咄嗟に貞永の服を掴むと、思い切り揺さぶり始める。
…ちょっと貞永!なんでそんなに余裕ぶっこいてんの!?
あたし達の関係が、バレてもいいっていうの!?
後ろから人の気配がするんだよ?
誰かがあたし達のやり取りを、覗き見してたかもしれないんだよ?
人生最大の危機なのに!
笑ってないで、フォローしなさいよ!!
「落ち着けって、あゆ」
「落ち着けられる訳が―――」
「それが、あるんだよな」
ニヤッと笑った貞永に、あたしは頬を両手で掴まれると、無理矢理後ろを向かせられた。
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