秘密の★オトナのお勉強②




悲痛なあたしの声が、誰も居ない廊下中に響き渡る。


それでも、泣き叫ぶあたしを、貞永は決して離さなかった。




「だって、分かってるから」



「え…?」



「佐田とのキスは、事故だって分かってるから。俺が見た時、明らかに佐田はあゆを庇うような体勢だったし、どうせあゆがドジでもかまして、階段からコケたんだろ?」



「ちょ…さだな―――」



「やっと、いつものあゆに戻ったな」




「やっぱりあゆは、口答えするくらいに元気ないとな」という貞永の呟きを聞きながら、あたしの身体は貞永から解放される。


どこまでも優しい貞永に、あたしはもう一度抱き付きたい衝動に駆られた。




「そりゃ明らかに浮気だったら、俺はあゆを一生監禁してやるし、佐田だって原型がなくなるくらいに、顔を殴ってやる」



「それ、犯罪…」



「だけど、今回の事は事故だしな。…誰も責められねぇよ」




いつもの貞永節により、あたしの目に溢れていた涙は、いつの間にか止まっていた。




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