「そうよね。冬馬は、あゆの事が大切だもんね…?」



「蘭…?」




蘭の表情が、自分をあざけ笑うような、皮肉なモノへと変化していた。


ハハハ…と乾いた笑みを浮かべている蘭は、今までの甘美で麗しかった面影が無い。




「好きな人とキス出来て、冬馬はさぞかし嬉しいんだろうな」




―――違うよ。

冬馬が好きなのは、蘭だよ。




「光輝くんもあゆの事が好きで、モテモテじゃない、あゆ」




―――モテモテなんかじゃない。

何を勘違いしているの、蘭?




「いいなぁ、あゆ…」



「蘭、何を言って―――」



「気持ちが届かないアタシを、影で楽しんでいるんでしょう…!?」




壊れたように叫び始めた蘭は、キッとあたしを睨み付けた。




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