本当に、おかしい。

疑わずにはいられない程に。




「じゃ、撮影頑張ってね!」



「ああ。あゆも菊池も、これから小西さんの所で頑張ってな」




俳優の表情に変化した貞永が、にこやかに手を振りながら、今日もスタートラインの撮影へと旅立って行く。


貞永の向かう先には、同じく女優の顔付きへと変化している蘭の姿があって。


あたしが蘭を視線で捕らえた瞬間、同じく蘭もあたしと目を合わす。


だが、あたしの隣に菊池が存在する事に気が付いた蘭は、複雑な表情をしながら控えめに手を振ると、貞永と共に撮影セットの奥へと消えて行った。



―――冬馬と蘭と菊池の、究極の三角関係が発覚してから、一週間。

あたしには、どうしても気になる事があった。




「それじゃ行きますか、ハッピードリームに…って、菊池!?」



「…先に中森サンの車に向かっときますから、ゆっくり来て下さい」




そう、菊池のあたしに対する態度が。




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