「菊池、こっちに来いっ…!」
「ハイ?」
疑問の声を投げかける菊池を無視して、あたしは楽屋に設置してあったソファーに、菊池を無理矢理座らせた。
ポスッ…という音を立てて、ソファーに座り込む体勢になった菊池の前に、あたしは素早くしゃがみ込む。
そして…直球勝負を挑む事にした。
「菊池…!」
「な…何スか?」
「ズバリ!蘭と何があったのよ!?」
…ストレートに聞きすぎた?
いやいや、これくらいしないと、菊池は口を割らないはず!
心の中でそんな葛藤を繰り広げる中、菊池の表情が、どんどん強張ったものへと変化していくのを、あたしは見逃さなかった。
ああ、この表情。
この間の製作発表会見の時と、まったく同じだ。
「菊池…?」
「俺は、最低な人間なんですよ、中森サン」
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