「と…冬馬…、あたし…お酒は…」
「そっか。あゆには前科があるもんね。じゃ、あゆはウーロン茶にしよっと」
…ぜ、前科って。
それはいくらなんでも酷くないですか、冬馬さん。
貞永に無理矢理襲われて、あたし達の関係が危うかった頃に、冬馬と飲みに行った時。
まさかの二日酔いに襲われて、しかも当時の隼人のマネージャーだった伊藤さんに殺されかけたという苦い思い出を持つあたしは、お酒が苦手になっていた。
確かに、あの事件はあたしの不注意から起こった事だけど…
いくらなんでも、あたしを犯罪者みたいに呼ばないでよね。
「冬馬、やっぱり変わってない」
「あゆこそ、その男勝りな所、変わってないね」
ニッコリと爆弾を落としてくる冬馬に、あたしは本気で味噌汁の中にぶち込みたくなってきた。
―――冬馬と里芋の味噌汁。
うん。不味そうだわ。
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