秘密の★オトナのお勉強②




猛の気持ちを痛いほど理解した所で、あたし達は料理の注文を取る事にした。



…あたしだって実を言うと、猛と同じ事を思っていた。


大事な仲間と楽しく過ごして、貞永が居なくなった寂しさを紛らわせたかった。



だけど、みんなは芸能人やそのマネージャー。


お互いに大事な仕事を抱えているし、スケジュールだって全員が合う事など皆無に等しい。


簡単にいかない事くらい、きちんと頭の中で理解していた。



もしかしたら猛は、そんなあたしの些細な気持ちにさえも、気付いていたのかもしれないね。


人の気持ちを誰よりも理解してくれる。

それが、中森猛という存在だから。




「あゆ、お酒は?」




楽しそうな冬馬の声が、個室の中に響き渡る。


その言葉を聞いた途端、あたしの表情は苦笑いに変わった。




.