「たーけーるー」 「何?」 「どうしてあたし達がここに連れて来られたのかを、五十文字以内で説明して!今すぐ!!」 あたしは隣に居る猛の襟元を握り締めると、ぶんぶんと振り回す。 …猛の目が回り始めている事は、知らないフリをして。 「どーうーいーうーこーとー!?」 「姉ちゃん凶暴すぎだろ!光輝くんに呆れられるぞ!?」 ―――光輝。 この言葉が聞こえてきた瞬間、あたしの手からゆっくりと力が抜けていくのが分かった。 どうしてだろう。 やっぱり貞永の名前を聞くと、胸が痛くなるよ。 .