自分の素性を隠して、一人の人間“貞永ちい”として暮らしていけば、絶対に楽しい高校生活が送れる。
“自分の父親が、貞永光輝”という事を知られなければ、ちゃかされる事もなく、幸せに暮らしていける。
家を、親元を離れる事になるけれど、この苦痛に耐えるよりかはよっぽどマシだと思い、あたしは高梨学園を受験し、そして合格した。
最初、心配性のお父さんとお母さんは反対していたけど、二人ともあたしの事を第一に考えてくれる人達。
結局あたしの思いに負けて、二人は同意してくれた。
ちなみに―――お父さんとお母さんは、あたしがずっと抱えてきた秘密を、知らない。
というか、言えない。
矛盾しているかもしれないけど、あたしはお父さんもお母さんも大好きだ。
二人ともあたしの事を考えて行動してくれるし、最高の両親だと思っている。
だけど、そんな存在だからこそ、時には悩みの種となり、あたしの心を圧迫するのだ。
ごめんね、二人とも。
だけどあたしは、自分の手で、自分の人生を掴みたいんだ。
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