ポカーンと扉を見上げたままのあたしを、おばさんは微笑んで見ている。
「緊張してる?」
「ちょっと…。寮生活、初めてですし…」
一人娘のあたしは、お父さんとお母さんにたくさんの愛情を注がれて育てられてきた。
あんなに変態丸出しでも、日本を代表する大物俳優になってしまったお父さんも、
芸能人のマネジメントに日々忙しさを極めていたお母さんも、
今思い返せば、あたしの育児に、手を抜いていた事は一度も無かった。
いつも笑顔であたしを包んでくれて、きっと不自由無い生活を送られてくれていた。
だから、あたしは寮生活を望んだんだ。
本当のあたしを見て欲しい、という理由もあるのだけど、何より、自立したあたしを二人に見て欲しいんだ。
一人でこんなに生活出来て、成長する事が出来たんだよと、お父さんとお母さんを安心させてあげたいんだ。
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