ペコリ、と礼儀正しく頭を下げる。だけど、その男の人はクスッと笑みを零した後、衝撃的な一言を発した。




「…やっぱり面白いな、お前」



「え?」



「いや、お前なんかじゃなくて―――新入生の、貞永ちいチャン?」




…今、この人、なんて言った?

何であたしの名前を知ってるの…?



途端に、恐怖で身体がガクガクと震え出す。


やっぱりこの人、あたしのストーカーだったんじゃないの?ここまで着けて来ていたんじゃないの?




「じゃ、俺行くわ」



「あ、ちょ―――!」



「また会えるよ、俺達は」




そう意味深な言葉を残して、男の人はニヤッと笑ったまま中型バイクに跨ると、どこかへと逃げてしまった。



―――また会えるよ、俺達は。


その言葉に、あたしはただ立ち尽くすしかなかった。




.