ヤバイ…?

いや、完全にヤバイ!



脱出する術を持たないまま、あたしはバイクで誘拐されてしまった。


行く先は知らない。この人ももちろん知らない。




「降ーろーしーてーっ!」



「降ろせって言われて、素直に降ろすヤツが何処に居る?」



「鬼畜…って、ぎゃぁー!」




初対面の人に吐くセリフとしては不適切だろうけど、そう叫ばなければならない程に、あたしの頭は混乱していた。


どんどんスピードを上げていくバイクに、あたしは耐えられなくなり、見知らぬ男の人の腰に抱きつくしかない。


というか、抱きつかなかったら、振り落とされて今頃即死だ。



―――お父さん、お母さん。

あたし、誘拐されました。


華の高校生ライフは、もしかしたら送れなくなるかもしれません。


というか、きっと送れないでしょう。



グッバイ、あたしの青春。




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