そして時は過ぎ、桜が咲き誇り始めた四月の初め。
あたしは大きめのボストンバッグを持ち、玄関でお父さんとお母さんと向き合っていた。
「ちいの他の荷物は寮に送っておいたから、今日くらいには届いてると思うよ。あと着いたら電話してね?」
「うん」
「高校生活、満喫しろよ」
「もちろん!」
お母さんに永遠と心配され、お父さんにはアッサリしすぎている言葉を贈られる。
二人らしいな、と思いつつ、あたしはニッコリと笑った。
今からあたしは、進学先の高梨学園へと旅立つ。
お父さんとお母さんと離れるのは寂しいと思うけど、これも自分の人生の為。
「貞永ちい」という一人の人間として、人に認めて貰えるチャンスなの…。
「行ってきます!」
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