へし折ったばかりの椅子の脚を片手に厨房内へ。

流石に我が家の台所とは違う。

広い厨房内には、数多くの食器、食材、磨き抜かれた鍋やフライパンが所狭しと並べられている。

調理中だったのだろうか。

フライパンの中には、中途半端に焼かれたままのハンバーグが、そのまま残っていた。

「点くかしら?」

ハルカがガスコンロに近づき、スイッチを捻る。

カチカチカチと音を立てるガスコンロ。

しかし、何度スイッチを捻っても、点火しそうな雰囲気ではない。

「何で点かないのよ」

「多分システムの異常でガスの供給もストップしているんだろう。電気が止まったのと同じ理屈だ」

俺は溜息混じりに呟く。