さて、早く俺達もこのタワーから出ないといけない。

階下へと向かおうとするが。

「ねぇ、ちょっと」

ハルカが俺を呼び止める。

こんな時にコイツの破綻した性格を披露されるのは迷惑なのだが。

「逃げるんでしょ?だったら屋上で救助を待つ方がよくない?」

「ん?」

俺は振り返る。

ハルカは人差し指を立てた。

「こんな高層ビルだもの。上空からヘリで救助って事も考えられるでしょ?確かこのビル、屋上にヘリポートもあった筈だし」

…成程。

さすが頭脳明晰。

こんな時でも、ハルカの頭の回転は冴えていた。