何だ、今の振動…。

地震か?

いや、それにしては数秒も経たないうちに振動は終息した。

もしかしたら気のせいかと思えるほどに、僅かな時間。

気にするほどの事でもないのか。

事実、俺以外の客は、先程の振動に誰も気づいていないようだった。

ならば、問題はないのかもしれない。

だが、その直後。

「!?」

突然タワー内に響くベルの音。

火災報知器が、けたたましく店内に響いた。