彼のその後を要約すると
たまたま飛びこんだ
エージェンシーのボスが
ロバートだった。

彼はジェイドの身元を保証し、
ハイスクールと大学を
卒業させたそうだ。
学費を、モデルのギャラで
稼いだ様なものだと、
本人は言う。

そして、ハイスクール時代に
見た映画に、触発されて、
この国の俳優を志したらしい。


彼の転機は成功につながった。


・・・私は、どうだろう。

ハイスクール卒業後、
特にやりたいこともなく
レコード会社に就職し、
あの人に会い恋をした。

当時、相当な年の差から、
いや、それ以外の要因も
あったのだろう。

私の周囲は
その関係を反対していた。

私達は、己を貫いたけどーーー
結末はあまりにもお粗末だった。

相手の社長令嬢との婚約に・・

若すぎた私の自殺未遂・・・

入院中の暇つぶしに
始めた絵画は
今もコンペに参加するほど
夢中になっている。

話がそれたが、事件後
追われるように、あの人は
会社を辞めて・・・
私も、とても居れるはずもなく
転職をしたのだ。

転職先で仕事を認められつつ
海外勤務で今の国へ異動するも
専門用語など言葉の壁は大きく
退職を余儀なくされてしまう。

何とか今の職場に入り、
ジェイドが生徒となって
今に至るわけだ。

「ディオナ。」

部屋の扉をノックする音が
聞こえる。
ジェイドの迎えの声だ。