「おちびさんだと思ってたのに
時間が経つのは、早いわね。」
昔を懐かしむ言葉が
自然と零れていた。
玄関とリビングの扉を開く音が、
一瞬訪れた静寂を破り、
背中に衝撃がくる。
「おねえちゃんっ!!
キャーッ!!ディオナだ!!
元気だった?!」
元気というか、
テンションが高いというのか
妹の声が、背中に響く。
背中に抱き着いてくるのは
昔から、かわらない。
「エリス、綺麗になったわね。」
抱きしめられたまま
頭を撫でてやる。
「この子達、昔から
仲がよかったのよ。」
母が、戸惑い気味のジェイドに
説明するように言えば、
ただ頷いて、笑みを浮かべる。
「ねぇ、エリス?ハリーは?」
懐いたままの妹に問えば
バッと、体を離す。
「わっ、忘れてた!!」
慌ただしくポーチに戻る彼女を
残る全員が、唖然とした表情で
見送っていた。
「あいつは、まったく・・・」
父が、片手で瞼を覆う。
そんな父を、ジェイドは
やはり、にこやかに見ていた。



