数年ぶりの、自分の部屋
毎日、掃除を
してくれているんだろう。
使われていない空間
独特のにおいもなければ
埃も、当然ない。
布団だって、ふわふわで。
干したてだってわかる。
いつ戻ってきてもいい様に
してくれているんだ・・・
この、当たり前の様で
当たり前ではない場所を
あの子は・・・
ジェイドは持っていない。
ここへ来て
あの子は、何を想っただろう?
荷物を置いて、
リビングへ戻れば、父と
彼が楽しげに話をしている。
「ジェス、後で散歩に行こう。
夕日の綺麗な場所があるんだ。」
「楽しみだな。あ
それって、運河沿いの景色?」
「特別なところだよ。
きっと、びっくりするよ。」
何ともない会話が続く横で、
母がきっといつものところに
連れていくのねって、
笑っている。
「彼は、どう?
うまくやってる?」
紅茶を含みながら、
気になっていた事を
母に問う。
「ええ。もちろんよ。
よく手伝ってくれるし、
とても繊細な子よ。
ディオナも、そうだけど・・・
貴方たち、性格はそっくりよ。
ジェスの方が、華があるけど。」
失礼なコメントだ
彼奴の方が美しい事は
重々承知だけど
性格が似てるって・・・
若干、屈辱だ。



