crystal love

 

傷の手当をひととおり終え
静かなサロンで、紅茶をのむ。
ブランデーの香が、
高ぶった神経を癒してくれる。

「まさか、同じ飛行機
だったとはな。
災難だったな。」

ジェイドは言う。

「そうね。」

あんな事があって、
彼に相当怒っていた事も
吹き飛んでいた。

「ジェイド、何で、私を
急にこっちに呼んだの?何かあったの?」

「いや、俺は別に・・・

違うな・・・ディオナに
会いたかった。
俺自身も。

でも、父さんや、母さんや
エリスは、もっと
会いたがってて・・・

不安そうなんだ。

また、いつか・・・
お前が、生きることを
やめようとしないかとか、
そういうの・・・

いつも考えてるってわかって。」

ジェイドに、
気を遣わせたんだ。

「一回、こういう事をすると
ハレモノになってしまうのね。

だめね。・・・自分の事で
精一杯になっちゃって。」

苦笑する他、なかった。

「皆、そうだよ。
ディオナだけじゃない。」

なんだか優しいわね、
今日は。

そう告げれば、何とも微妙な
表情を見せて、彼は
口を開いた。