『ハロー!お姉ちゃん。
あたし!エリス!』

妹からの電話だった。
やはり、ジェイドは
うまくやれてないんだろうか?

「どうしたの?エリス。」

『ジェスが、お姉ちゃんと
話したいんだって。』

「ジェス?」

誰だっけ・・・
そんな知人、いたかしら?


『・・・え?わかんないの?
留学生?ホームステイに来てる
あなたの生徒ですよ?』

妹の呆れた声がして、
電話の向こうで、
何か話し声がしたあと、
ジェイドが電話口に出てきた。


『ハロー。ディオナ。』

・・・何よ・・・
ご機嫌の悪い声だしちゃって。

「ハロー。」

『ディオナ、俺の本名
しってる?』

「え。ジェイドでしょ?」

唐突な質問に
思わず素で答える。

『・・・それは、芸名。
本名がそんなイカレタ名前な訳
ねぇだろ?!
ってか、学校に
履歴書出してんだろっ』

彼のイライラした声に、
エリスが私たちのやり取りに、
大ウケして笑い転げる声が重なる。

「・・・ああっと、キミのは
見てなかったな。」

そういえば。

皆、芸名で呼んでんだから
いいじゃないの・・・

そんなに怒らないでよね。

って、まさか


「用件て・・・コレ?」


『うん。

・・・それと、さぁ。
お前、こっちに帰って来いよ。』

また、その話か。