短いノックの後、開いた扉から
ボスが顔をのぞかせる。
「ディオナ、ちょっと
いいかな。」
「さっきの件だけど・・・」
近づけば、そう小声で切り出す。
内容は、確認してくれていた
エレナで彼が所属する予定の
マネジメントオフィスとの
調整の件だった。
俳優の卵…
スーパーモデル…
そんな肩書のある人間は
自己都合でフラッと海外に
行く事もならない様だ。
そりゃまあ、そうよね。
音信不通になった上に
事件に巻き込まれたんじゃ
オフィスも大損失よね。
「さっきの話、進めて。
ロバートの承認も得てる。」
手数をかけた礼を述べれば
彼は、何て事はないと微笑み
言葉を続けた。
「ジェイドには、もう
話したのかい?」
「これから、話します。」
会釈と共に、会話を句切り
扉をしめ、ジェイドの方に
振り向いた。
ら
・・・機嫌悪っ
「何だよ?」
イライラした声で
つっかかってくる。
・・・コイツ・・・
親心なんて出して
サービスするんぢゃなかった
でも、まあ・・・



