ジェイドの授業時間になり、
クラスブースへ向かう。

ブッチギレてしまわないように、
昼間の話は、極力忘れるよう、
気持ちをコントロールする。


「ハロー、ディオナ。」

椅子にかけて、
飄々と彼は言う。

「こんにちは。ジェイド」

ダメ・・・
忘れなきゃ

ひきつりそうなコメカミを
指で押さえ、平静を装う。


「ねえ、ミスタースミスから
聞いた?例のハ・ナ・シ。」

私の様子など、素知らぬ風で
彼は、用件を切り出した。

「聞いた。」

「怒っただろ?ディオナ。」

楽しげに、彼は言う。

「激怒した」

「これでも、俺、
アンタに配慮したんだぜ?」

彼は頬杖をついて言う。

「何を?どの辺よ?」

聞かせてもらおうじゃないか。
お子ちゃまの言い分を。


「旅行なんて言ったけどさ、
本当は、君ん家に
ホームステイ
したかったんだよな。」


彼は、サングラス越しに
こちらを見遣る。

ホームステイ・・・って。
何で、また?

「ジェイド、
大事な話しなんだから、
サングラスをとって
目を見て話しなさい。」