完全に彼のペースだ・・・

「昨日、エレナの連絡先を
俺、残しておいたけど。
お前、絶対かけてこないからね。
完全に落とすまで
攻め続けなきゃな。」

涼しい顔をして、
チラリと視線を寄越す
このオトコの持論は図星だった。
・・・後半の台詞は、恐怖だ。

「何か、ディオナの連絡先を
父さんや母さんに聞くのも
どうかと思ってね。

これは、俺とお前の問題だし。」


・・・そこまで言われると
逃げたりごまかしたり出来ない。

漸く、私は、彼との関係を
真剣に考える気持ちになった。

2人で皿をテーブルに運んで、
食卓を囲む。
こうして2人で食事をするのも
久しぶりだ・・・だ、なんて
思っていたら、彼は同じ事を
口にする。
前にもこんな事があった。

「ジェス・・・読心術でも
できるの?」

思わず尋ねる私に

「いや。思ったまま言ってる。」

彼らしい返事が返ってくる。

・・・思ったままね(笑)


「何?」

私の質問の意図が解らない
彼の、訝しげな質問に
なんでもないって返せば
言え、言わないの
押し問答になってしまう。
変な意地をはる必要もないので

「たまに私が思うことを
そのまま貴方が口にするから
不思議に思っただけよ。」

そう、素直に告げれば
あたりまえだと彼は言った。